人身傷害保険とは?
人身傷害保険とは,「自動車事故で被保険者が被った怪我による損害を,被保険者の過失にかかわらず保険金額の範囲内で補償する保険」です。
従来の対人賠償保険は,「加害者になったときの保険」であるのに対し,人身傷害補償は,「被害者となった場合に利用できる保険」となっています。
人身傷害保険のメリット
交通事故による損害は,原則として事故の加害者が賠償する責任を負うことになります。そのため,基本的には自分が加入する保険会社から賠償金を受け取る必要はありません。しかし,以下の場合には,人身傷害保険を利用して,自分の加入する保険会社から賠償金を受け取るメリットがあります。
- 加害者が任意保険未加入
- 加害者が任意保険に加入しておらず,加害者の手元にお金がない場合,被害者は自賠責保険による最小限度の賠償しか事実上受け取ることができません。
このような場合に,人身傷害保険が利用できると,事故による損害の補償を自分の保険会社から一定額受け取ることができます。
したがって,相手が任意保険未加入で十分な賠償が期待できない場合には,人身傷害保険を利用するメリットがあるといえます。 - 自分に過失がある場合
- 例えば,交通事故による損害が100万円で,自分にも過失が2割あるとした場合,相手から支払いを受けることができる賠償金は100万円の8割である80万円となります。
このような場合に,人身傷害保険が利用できると,差額の20万円を限度に自分の保険会社から自分の過失分として受け取ることができなかった賠償金を一定額受け取ることができます。
したがって,交通事故につき自分にも過失割合が認められる場合には,人身傷害保険を利用するメリットがあるといえます。 - 相手が支払いに応じてくれない
- 事故の加害者が任意保険会社に加入している場合であっても,その任意保険会社が途中で治療費の支払を止めたりするなどトラブルになるケースがあります。このような状態になると,治療費などは自分で立て替える必要が出てきてしまい経済的負担を負うことになります。このような場合に,人身傷害保険を利用して,自己の保険会社に治療費等の支払をしてもらうことにより,事故の経済的負担を回避することができます。
したがって,交通事故の補償について,相手方保険会社が支払いに応じてくれない場合には,人身傷害保険を利用するメリットがあるといえます。